ちょっと真面目な話から。 今話題の素材「生分解性ポリエステル」普及に向けて 3。自分の考え

ちょっと真面目な話から。 今話題の素材「生分解性ポリエステル」普及に向けて 3。自分の考え

2021-07-02 0 投稿者: katsu

ずっとこの「ちょっと真面目な話から。」というタイトルで投稿を続けています。すこしここからはもっと自分の事も付け足していきます。「何でこれを自分でも扱う事にしたのか?」

2015年頃自分の新しいブランド立ち上げの為、色々情報収集や素材探しをしていた時。2で書いたデザイナーの坂寄さんと出会います。その時はお互いあまり満足いく収穫なく時間は過ぎ、、、とあるきっかけで株)V&Aを知る事となり、さかよりさんにも紹介し、2人で大阪の株)V&Aに出向き、この素材も紹介されました。

当時すでに株)V&Aではこの素材のTシャツを作り、自社小売りで販売を行っていましたが、まだ試験的な段階で大々的に販売を行っている状況ではありませんでした。その後、さかよりさんはその他の機能素材から取り組みを行い、私はこの堆肥分解の扱いと同社オリジナルブランドの手助けを行う事になります。この間に開発された糸、生地の一部を各ブランドに供給してもらう事となり「wmg.」での発表となりました。(写真はwmg.のロングスリーブTシャツ)

2021AW展開のCOMPOSTABLE(生分解)素材のロングスリーブTシャツには2種類のプリントをご用意♻️
ほどよいゆったり感なのでジェンダーレスで着ていただけます。

そもそもこの素材自体の開発もかなり大変だったようですが、それ以外に立ちはだかる困難な状況として、素材特性上効果を発揮するシーンが「廃棄」という部分。そう、この素材は回収して処分しないと完結しないというかなり特殊な物なのです。

2016年頃にYoutubeに投稿されたウミガメストロー動画(閲覧注意)が発端となり2018年頃一気に起こった「廃プラ」の流れで(町中からストローが一気に姿を消した)これらプラスティック製品に対する考え方も見直しが進んでいますが、「廃止する」などは大胆に行えば逆にスムースに事は運びます(やめればいいだけなので)。しかしこの「回収」という今までなかったアクションを付加する、またそれをユーザーにお願いするのはかなりハードルが高いです。

私がこの素材を扱うことにした理由1。仮に回収できず堆肥化できなく、一般的な焼却処分となった場合でも、何かしらの良くない成分が発生する、また処理できない等は無いので最低限以上クリアしないといけない部分はOKです。それらは今のリサイクル技術に依存する事にはなります。したがってこの技術もより進化する事を望んでいます。

次に理由2として。私が今立ち上げを行っているブランドは基本「ユニフォーム」をベースとした物で、長年ユニフォームを営んでいる企業(商社)さんと取り組んでいます。この企業が主に行っている事は、企業向けオーダーユニホーム。大手外食産業や交通機関等のユニフォーム で、これらユニ フォーム は基本的には製造元が回収し表に流出しないように破棄されます。またこれら企業用ユニフォーム はかなり以前から環境に配慮した素材(リサイクル等)が採用されており、この堆肥分解ポリエステルの普及必要条件をほぼすべて満たしています。

最近、アパレルの小売業では「古着回収」を積極的に行っているところが増えてきました。基本的にこれらは「リサイクル」「リユース」への取り組みです。ただこの流れがあれば店舗を持たないブランドでも(卸がメインのブランド)でもこの素材の商品の販売は可能になってきます。普及のポイントはまず製品化をより多くする。そのうえでこの素材の製品の回収を呼び掛けるという事になります。

ここは製品の製造販売側もそうですが、まず素材の大本で回収後の廃棄を担う株)V&Aさんが先頭を切って大きく告知していく所。そういう意味でもまだ若くスタートアップ的なV&Aさんに期待したいところです。

“例えば、現在ポリエステルで作られている衣料をこの堆肥中で分解するポリエステルに切り替え ることができれば、それだけで地球にかかる負担を大幅に軽減する事が出来ます。”こちらの文章はV&Aのオリジナルブランドページの株)V&Aジャパン宮本会長の言葉の抜粋です。

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